お悩み相談室

兵庫県尼崎市在住。シンガーシングライターのようなものの井野桂吾による、お悩み相談室のようなもの 。

『最近言っていいことと悪いことの区別がつきません。どうしたらいいですか?(兵庫県・10代・女性)』

このお悩み相談室ですが、誰からも悩み相談が来ないので、自分の悩みを書き綴るという謎のブログと化し、更には自分に大きな悩みなど無い事に気がつき、ついには更新が滞りまくっていた最低な相談室です。

もはや一人称が何だったのかすら覚えていない状態です。

今しがた「私」であった事を過去の記事から確認いたしました。

そんなお悩み相談室ですが、実はついに来たんです。

悩み相談が!

みなさん、一度のその手に持ってる機械、もしくはマウスから手を離し、拍手を頂けませんか?

パチパチパチパチ!

茶番にお付き合い頂きありがとうございます。

という訳でさっそくお悩みをご紹介します。


『最近言っていいことと悪いことの区別がつきません。どうしたらいいですか?(兵庫県・10代・女性)』


この最後の(兵庫県・10代・女性)というのは相談者さんが気を使って相談室感を出す為につけてくれたものです。

是非みなさんもこの新ルールに則ってお悩み投稿お願いします。

なんならペンネーム的なやつもお願いします。

さて、本題ですが、言っちゃダメな事の代表格として「馬鹿」があります。

しかし、ちょっと考えてみて下さい。

例えば私が超神戦隊ゴッドレンジャーZの隊員の一人だったとしましょう。

私はゴッド司令官のもとで、悪の秘密結社デビルデンジャラーの怪獣達と日夜戦い続けているのです。

みなさんお分かりだと思いますが、正体は誰にも明かしてはいけないので、普段は普通の高校生を演じています。

話せば長くなるので省略しますが、私はある事がきっかけで、同級生の梅子に自分がゴッドレンジャーZのゴッドレッドである事がバレてしまうのです。

(※ごめんなさい、ちょっと中断!高校生の設定にしちゃったんで、ここから『私』じゃなくて『僕』にします!)

梅子とは家が隣ということもあり、子供の頃からいつも一緒に遊んでいました。

ちょっとおせっかいなところもありますが、次女の鮭子、三女の昆布子の面倒をちゃんと見てあげる良いお姉さんでもあります。

しかし、僕がゴッドレンジャーZのゴッドレッドである事を知ってからというもの、怪獣との戦いで時々ボロボロになって帰ってくる僕を心配そうな目で見るようになりました。

ある時、梅子が母であるシーチキンマヨ子の夕飯の準備を手伝っている間、僕がシャケ子と昆布子と家の外で遊んでいると腕時計型の通信機に司令が入りました。

それと時を同じくして

「シャケ子!昆布子!ごはんよ!」

玄関を明けて妹達を呼びに来た梅子の横を「はーい!」と元気に返事をした妹達が走って家に入って行きましたが、梅子はずっとそこに立っていたようです。

僕が司令を受け、出動する時、そこに立ちつくしている梅子と目が合いました。

そして梅子は「頑張ってね!」と小さな拳を握り笑顔で励ましてくれました。

死と隣合わせの戦いに向かう僕に、頑張ってなんて思っていない事は百も承知です。

それでも世界の平和を守る為に戦う人間に、いくら幼なじみとは言え、いや、幼なじみだからこそかもしれませんが、行かないで欲しい、もう除隊して欲しいなどとは言えないのです。

そんな梅子の精一杯の優しさである「頑張ってね!」を胸に、僕はゴッドバイクにまたがり戦地に向かいました。

その日は無事戦いには勝利しましたが、戦いの最中に傷ついたゴッドバイクを基地に預け、歩いて帰ったので幾分遅くなりました。

家の近所の公園の時計台を通り過ぎる頃には夜11時を回っていました。

するとポケットの中でLINEの着信音が鳴りました。

梅子の妹、次女の鮭子でした。

中学に上がって母のシーチキンマヨ子におねだりして買ってもらったばかりのスマートフォンが随分嬉しいようで、時々僕にもこうしてLINEを送ってくるのです。

画面を見ると「お兄!」(家が隣だからか、幼い頃からこう呼ばれている)の後に怒った顔の絵文字が続いていました。

ついさっき、デビルデンジャラーの怪獣と死闘を繰り広げたばかりで、褒められる事はあっても怒られることはないぞ!そう思いつつ、心当たりの無い鮭子の怒りを知るべく全文を表示すると

「今日は梅姉ちゃんの誕生日だったんだぞ!バーカ!」と書かれていました。

梅子とは家が隣の同級生という事もあり、物心ついた頃には必ず毎年誕生日プレゼントを渡すのが当たり前になっていました。

と言っても一ヶ月前から梅子の誕生日カウントダウンが始まり

「あと一ヶ月で私の誕生日だからね!ちゃんとプレゼント買うように!」

と急かされるので、忘れようにも忘れられなかっただけなのですが、そう言えば今年は何も言って来なかったなと思うと同時に、今までに無い感情が僕の心臓を覆いました。

心臓まとわりつく感情を振りほどくかのごとく僕は全力で走っていました。

気がつくと梅子の家のインターホンを押していました。

深夜11時過ぎに同級生の家のインターホンを鳴らすという行為の非常識さを感じたのは梅子の父、エビマヨネー蔵が怪訝な顔で玄関を開けた時でした。

僕の顔を見るなり「おーい!梅子!」と二階の梅子の部屋に向かって声を張り、ドアを一枚隔てたくぐもった声で「はーい」という梅子の声が聞こえ、「ちょっと待ってな」と言いエビマヨネー蔵は奥の部屋に去って行きました。

玄関から二階へと続く階段の向こうから、もうお風呂も済ませたであろう姿の梅子が下りてきました。

「どうしたの?」

僕に「頑張ってね!」と言った時と同じ顔で、梅子は言いました。

僕が何故ここに立っているのか、自問自答してる間に梅子がクスっと笑って言いました。

「今日はあんまり怪我してないね」

いくら走っても拭い去れなかった僕の心臓を覆っていた感情は、心臓と一緒にクシャクシャになり、全身が熱くなるのを感じました。

「どうしたの?」の返事としては間違っていると思い、顔を赤らめてしまったのは

「誕生日おめでとう」と言ったその後でした。

つじつまの合わない会話に梅子はまたクスっと笑い梅子もまた頬を赤らめて言いました。

「ばか」

終わり。

随分話が長くなりましたが、この『ばか』は逆に、言っていい『馬鹿』ですよね?

つまり、言っていいのか悪いのかっていうのは自分基準じゃなく、相手基準にある訳です。

これを言ったら相手がどう思うかな?が、ひとつの思いやりであり、思いやりの延長線上には時に馬鹿だってアホだって悪口はある訳です。

思いやるからこそ発してしまう悪口があるなら、言っていい事、悪いこと事をを選別する言葉はないのです。

しかしながら、自分勝手に言いたい放題言ってる本当の馬鹿はこの世にたくさんいます。

人の顔色も伺えずに、罵ってみたり、自慢してみたり、ひけらかしてみたり、馬鹿ばっかりです。

そんな奴に比べたら、言っていいのか悪いのかを気にして生きている人の方が、百倍、いや百万倍言っていい事を言ってると断言します。

「あぁ…またあんな事言っちゃった…」って後悔しながら生きる事は、短所ではなく長所です。

誇りを持つことではないかもしれませんが、自分を卑下する必要は1マイクロミクロンもありません。

以上!

ちゃんと相談に乗れてるのかは置いといて、以上だバカヤロー!

 

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